多頭飼いでおもちゃを取り合うときの対策は?遊ぶ場所と片づけ方

多頭飼いでおもちゃの取り合いが起きるときは、どちらが上かを決めさせず、それぞれの愛犬が落ち着いて遊べる環境を整えてあげましょう。

「相手が持っているおもちゃばかり欲しがる」が見られる場面

同じおもちゃを2つ用意しても、相手がくわえている方を欲しがる様子が見られることがあります。相手が興味を持っている物に惹かれているようにも、取り合いそのものを楽しんでいるようにも見えますが、しぐさだけで理由を決めることはできません。取ったり取られたりの交代があり、ときどき自分から仕切り直しているなら、遊びとして続いていることもあります。一方で、長い時間噛んで楽しむおやつなど、愛犬にとって価値の高い物をめぐっては、本気の争いになることもあります。取り合いが起きるときは、どちらが上かを決めさせず、接触しない環境でそれぞれが遊べるようにしてあげましょう。守っている物へ手を伸ばして取り上げることは避け、愛犬が落ち着いて離れた後に片づけます。長く楽しむ物ほど、相手が近づかない場所を用意してください。唸りや噛む動きがある場合は、交換の練習も無理に行わず相談しましょう。

⚠️ 長く噛んで楽しむおやつは、おもちゃ以上に取り合いになりやすいことがあります。与える場合は、相手が近づかない別の部屋やクレートを使ってください。

「じゃれ合い」と決めつける前に:場面ごとに確認したいこと

取り合いは楽しい遊びのこともあれば、本気の争いにつながることもあります。交代があるか、自分から休憩を入れるかに加えて、体の硬さや唸りもあわせて見てください。唸りに体の硬直が伴うときは、遊びを続けさせないようにしましょう。

🐕 取ったり取られたりの交代がある

併せて見られること:口がゆるく開き、自分から仕切り直す

考えられること:遊びとして楽しんでいることも

→ 体の硬さがないか見守る

🐕 一方が奪うだけで交代がない

併せて見られること:取られた子が遊ばなくなり寝床に戻る

考えられること:取られる側が遊べず、ストレスになっていることも

→ この記事の対策へ

🐕 おもちゃの上で固まって動かない

併せて見られること:低く長い唸り・体が硬い・白目が見える

考えられること:物を守ろうとしている(リソースガーディング)ことも

→ この記事の対策へ

🐕 今まで平気だったのに急に怒り出す

併せて見られること:触られるのを嫌がる・動きがぎこちない

考えられること:痛み(関節・歯・耳など)が関わっていることも

→ 早めに受診

🐕 おもちゃの破片やロープの糸を飲み込んだ

併せて見られること:嘔吐を繰り返す・食べない・お腹を痛がる

考えられること:消化管閉塞の疑い

→ 至急受診

🐕 取り合いから出血する咬傷が出た

併せて見られること:傷が腫れてきた・熱を持っている

考えられること:咬傷は感染しやすい

→ 当日中に受診

状況別の読み解き方

💬 取ったり取られたりを繰り返して遊んでいる

遊びとして楽しんでいることもあります。体がこわばっていないか、ときどき休憩をはさんでいるかを見守りましょう。

💬 一方が奪うだけで、取られた子が諦めて遊ばなくなる

取られる側が遊べなくなっているのかもしれません。それぞれ別の部屋で「独り占めできる遊び時間」を作ってあげましょう。

💬 取り合いから本気の唸り合いに発展する

遊びの範囲を超えているのかもしれません。長く噛んで楽しむ物は同時に与えず、唸りが続くならおもちゃを片づけて空間を分けましょう。

飼い主ができる対策

1「同じ物を2つ」より「別々の時間」を用意する

同じおもちゃを2個買っても、相手が持っている方を欲しがることがあり、物の数を増やすだけでは解決しないこともあります。そんなときは、それぞれが独り占めできる遊びの時間を別の部屋で作るのがおすすめです。短い時間でも、取り合いを気にせず思い切り遊べる時間があると、取られる側も満足しやすくなります。

2長く噛むおやつは同時に与えない

ガムや大きめのジャーキーなど、長い時間噛んで楽しむ物は、多頭飼いでは取り合いのきっかけになりやすいことがあります。与える場合は別の部屋やクレートを使い、食べ終わるまで顔を合わせないようにしてください。食べ残しを持ったまま合流させないようにし、片づけは愛犬が落ち着いて離れた後に行いましょう。

3守っている物に手を伸ばして取らない

物を守っている最中は、近づいて手を出したり交換を試したりせず、安全に距離を取ります。接近をよい出来事と結びつける練習が用いられることはありますが、実施距離や方法は犬の反応に合わせた設計が必要です。強い反応や噛む動きがある場合は専門家と進めてください。おもちゃの片づけは、愛犬がそこから離れて落ち着いたタイミングで行いましょう。

4一方通行になっていないかを観察する

楽しく続く取り合いには、交代が見られることが多いものです。奪う側がいつも同じで、取られた子が遊びに参加しなくなった・寝床に戻るようになった、という状態が続いているなら、取られる側にとっては楽しい時間になっていないのかもしれません。勝ち負けだけでなく、交代があるか、取られた子も楽しめているかをあわせて見てください。一方的になっている場合は、遊びの時間を分ける段階です。

5ヒートアップしたら手を出さずに中断する

呼吸が荒くなる・唸りが低く長くなる・体が硬直する、といった様子が見えたら、遊びを切り上げるタイミングです。犬同士の間に手や体を入れるとけがにつながることがあるので、名前を呼ぶ、離れた方へ歩いて誘うなど、注意をそらして分けてください。少し休憩をはさみ、落ち着いてから遊びを再開するかどうか決めましょう。

6本気の唸り合いが出たら専門家に相談する

唸り合いから固まり合いに進む、咬傷が出る、といった段階まで来ている場合は、家庭での工夫だけで扱える範囲を超えています。おもちゃを全部片付ける・別空間で生活させるなど安全を確保したうえで、行動診療を行う動物病院に相談してください。同居犬同士の攻撃は、放っておくと続いてしまうこともあるため、早い段階で相談しておくと安心です。

すぐ受診すべきサイン

次のような様子があるときは、様子見をせず動物病院に相談してください。とくにおもちゃの破片などを飲み込んで嘔吐を繰り返しているときは、今すぐ連絡してください。ほかの項目も、電話で様子を伝えて受診の時期を確認しましょう。

🚨 おもちゃの破片やロープの繊維を飲み込み、嘔吐を繰り返している

🚨 食欲がなくお腹を触ると痛がる(消化管閉塞の疑い)

🚨 取り合いから出血を伴う喧嘩になった

🚨 今まで平気だった子が、急に取り合いで本気で怒るようになった

🚨 一方が食事や睡眠を避けるほど萎縮している

🚨 唸りなどの警告がないまま、いきなり噛みつく場面があった

まとめ

🐶 おもちゃの取り合いが遊びか争いかはしぐさ一つでは決められないので、どちらが上かを決めさせず、それぞれが落ち着いて遊べる環境を整えてあげましょう。

🐶 まずは別々の部屋で、それぞれが独り占めできる遊びの時間を用意するところから始めるのがおすすめです。

よくある質問

Q. 同じおもちゃを2つ用意しても取り合いになるのはなぜですか?

A. 相手が持っている物に惹かれているのか、取り合いそのものを楽しんでいるのか、理由はしぐさだけでは決められません。物の数を増やしても落ち着かないこともあるので、別の部屋でそれぞれが独り占めできる遊びの時間を作ってみてください。

Q. 犬同士のおもちゃの取り合いは止めるべきですか?

A. 交代があり、ときどき自分から休憩を入れているなら、遊びとして続いていることもあります。ただし、一方が奪うだけで交代がない場合や、低く長い唸りとともに体が硬直した場合は、遊びを切り上げてください。そのときは手や体を入れず、名前を呼ぶなどして注意をそらし、分けてあげましょう。

Q. ガムや骨は多頭飼いで与えても大丈夫ですか?

A. 同時に与えるのはおすすめできません。長く噛んで楽しむおやつは、普通のおもちゃより取り合いになりやすいことがあります。与える場合は相手が近づかない別の部屋やクレートを使い、食べ終わってから合流させてください。唸りや噛む動きがあるときは、無理に取り上げず相談しましょう。

関連する行動もチェック

この行動とあわせて見られることが多い行動です。あわせて読むと、場面ごとの様子を比べやすくなります。

🐕 愛犬の様子に目を配りながら、一緒のお出かけも楽しみましょう。

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📚 参考:日本獣医動物行動学会(行動診療を行う動物病院の地域別一覧あり)/AVSAB(米国獣医動物行動学会)Position Statements

※本記事は一般的な動物行動学の知見に基づく参考情報であり、獣医学的な診断に代わるものではありません。愛犬の体調や行動に不安がある場合は、必ず獣医師にご相談ください。

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