子犬が先住犬の耳を舐める、犬同士で顔や口を舐め合うのは、挨拶や親しみを示す接触としてよく見られる行動で、穏やかに舐め合ってすぐやめるなら見守ってかまいません。ただし、片方がしつこく舐め続ける、舐められる側が嫌がる、同じ耳ばかり舐めるといったときは、止めてあげたり体の異常を確かめたりしたいサインのこともあります。
🐾 この記事でわかること(タップで移動できます)
✅ よくある質問
犬同士で耳や顔・口を舐め合う理由
犬同士の舐め合いには、いくつかの理由が考えられます。どれに当てはまるかは、舐める場所・長さ・舐められる側の反応で見ていきます。
🐾 挨拶・親しみ:寄り添って休む前後や、帰ってきたときなどに、お互いの顔や耳を軽く舐め合うことがあります。
🐾 口元を舐める挨拶:子犬や新入りが先住犬の口を舐めるのは、子犬が母犬に行うしぐさに由来するとされ、相手に近づくときや相手をなだめたいときに見られます。
🐾 遊び・動くものへの興味:子犬は、ぴょこぴょこ動く耳が気になって舐めたり甘噛みしたりすることもあります。
🐾 匂いや味:食後の口のまわりや、耳の分泌物の匂いに引かれて舐めていることもあります。
🐾 緊張や落ち着かなさ:退屈や不安があるときに、相手を舐め続けることで気持ちを紛らわせているように見える場合もあります。
🐾 相手の体の変化に反応:片方の耳ばかり舐めるときは、舐められる側に外耳炎などの異常があることもあるので、人の目でも確かめましょう。
お互いの顔や耳を舐め合う「アログルーミング」は、犬同士の接触の一つとして見られますが、舐めることで相手の体を治したり耳をきれいにしたりしているわけではありません。寄り添って休む前後などに、穏やかに舐め合う姿が見られることがあります。新入りが先住犬の口元を舐めるのは、子犬が母犬に対して行う挨拶に由来する行動と考えられていますが、それだけで関係が順調とは決められません。一方で、片方だけが延々と舐め続ける、舐められた犬が顔をそむけたり離れたりするといった場合は、距離を取ってあげてください。犬の嗅覚は炎症や分泌物の匂いを捉えることがあり、片方の耳ばかり執拗に舐めるときは、舐められている側に外耳炎などの異常があるかもしれません。ただし、舐める様子だけで病気の有無は判断できないので、赤みや耳の異常がないかを人の目で確認しましょう。同じ場所を舐め続けられると唾液の湿り気で皮膚が蒸れ、湿性皮膚炎(ホットスポット)に進むこともあります。塗り薬が付いた部位にも注意し、急に特定の場所へ執着するようになった場合は、舐められる側の体調もあわせて確認してください。
⚠️ 傷口や手術痕、塗り薬やノミダニ駆除剤を付けた部位を他の犬が舐めると、治りが悪くなったり、薬を口にしてしまったりすることがあります。術後や投薬後は、エリザベスカラーだけに頼らず「舐めてくる同居犬」との距離も管理してください。
子犬が先住犬の耳や口を舐めるときの見方
子犬を迎えたばかりの家庭では、子犬が先住犬の耳を舐める、口元をペロペロ舐める姿がよく見られます。口元を舐めるのは、子犬が年上の犬に近づくときの挨拶のようなしぐさとされ、先住犬が落ち着いて受け入れているなら、見守ってかまいません。耳を舐める場合は、動く耳への興味や遊びの延長のこともあり、そのまま甘噛みや引っ張りに変わっていくこともあります。
見ておきたいのは、先住犬がどう感じているかです。顔をそむける、自分の口を舐める、体を固くする、その場から立ち去ろうとする、低く唸るといった様子があれば、先住犬にとっては負担になっているのかもしれません。先住犬の唸りは「そこまで」と伝える合図のこともあるので、先住犬を叱るのは避け、人が子犬を呼んで別の遊びに誘いましょう。子犬は興奮すると止まりにくいので、サークルでの休憩時間を作り、先住犬が子犬から離れて休める場所(子犬が入れない高さのベッドや別室など)を用意しておくと、お互いに落ち着いて過ごしやすくなります。
また、長く舐められた耳は唾液で湿ったままになりがちです。垂れ耳の犬などで耳の中が蒸れやすい場合は、乾いた柔らかい布で耳の入り口をそっと拭く程度にとどめ、赤みや匂いが出てきたら動物病院で相談してください。
止めた方がよい舐め合いのチェックポイントと止め方
舐め合いそのものは珍しい行動ではありませんが、次のどれかに当てはまるときは、人が間に入って区切ってあげることを考えましょう。
✔ 舐められる側が顔をそむける・逃げる・唸るなど、嫌がるしぐさを見せている
✔ 片方だけが一方的に、何分も続けて舐めている
✔ 舐めているうちに甘噛みや取っ組み合いに変わり、興奮が高まっていく
✔ 舐められている耳や皮膚が濡れたまま赤い、匂う、毛が薄くなってきた
✔ 傷口や手術痕、塗り薬・ノミダニ駆除剤を付けた部位を舐めている
止めるときは、大きな声で叱ったり、2頭を無理に引き離したりするより、舐めている側の名前を穏やかに呼び、来たら褒めておやつや別のおもちゃに誘う方がスムーズです。叱られた経験が続くと、相手の犬の存在そのものが嫌な記憶と結びつくこともあります。舐め始めるタイミング(寝る前、食後、退屈なときなど)がわかってきたら、その前に知育おもちゃや散歩で気持ちを切り替えておくと、舐め続ける時間を減らしやすくなります。
「仲良しの証」と決めつける前に:場面ごとに確認したいこと
舐め合いは穏やかな接触として見られることもありますが、一方通行で執拗な場合は、舐められている側の体の異常が関わっていることもあります。執拗に舐められている部位は人の目でも確認してください。
状況別の読み解き方
💬 お互いに舐め合って、そのまま寄り添って寝る
穏やかに過ごせている場面のひとつです。舐められている側が嫌がっていないかだけ、そっと見てあげてください。
💬 片方が相手の耳ばかり執拗に舐める
舐められている側の耳に、外耳炎などで匂いの変化が出ている可能性があります。耳の中をチェックし、舐め続けるようなら距離を取りましょう。
💬 新入りが先住犬の口元をよく舐める
子犬が母犬に行う挨拶に由来するとされる行動で、相手に近づくときに見られることがあります。先住犬が顔をそむけたり離れたりするなら、距離を取れるようにしてあげてください。
飼い主ができる対策
1穏やかな舐め合いは、嫌がっていないかを見ながら見守る
お互いに舐め合って、しばらくすると自然にやめ、そのまま寄り添って休む。そんな穏やかな様子なら、無理に止めなくてもかまいません。確認したいのは、一方通行になっていないか、舐められる側が避けていないか、自分からやめられるかです。顔をそむける、立ち去ろうとするといった様子があれば、そっと距離を取れるようにしてあげましょう。
2耳ばかり舐められる子は耳の中を確認する
片方の耳を執拗に舐められている場合、その耳に外耳炎などが起きていることがあります。耳の内側が赤くないか、黒や黄色の耳垢がないか、独特の匂いがしないか、頭をよく振っていないかを確認してください。舐める様子だけで判断せず、人の目で耳の状態を確かめることが、早めの相談につながります。
3長く舐め続けるときは、呼び寄せて別の活動に誘う
片方だけが延々と舐め続ける関係が続くと、舐められる側の負担になることがあります。別々の休息場所を用意し、同じ場所を長く舐め始めたら、静かに名前を呼んで別の遊びやおやつを使った活動に誘ってください。叱って止めるより、舐める以外にすることがある状況を作る方が、お互いに穏やかに過ごしやすくなります。
4術後の傷は同居犬から物理的に守る
自分で傷を舐めるのはエリザベスカラーで防げても、同居犬が舐めてくる分は、部屋やサークルで分けて防ぐ必要があります。傷が治るまでは別の部屋やサークルで過ごさせてください。縫合部を舐められると、感染や傷口が開く原因になり、治療が長引くことがあります。術後の多頭飼いで見落とされやすい点です。
5薬を塗った部位は舐めさせない
皮膚の塗り薬や、首筋につけるノミダニの駆除剤は、同居犬が舐めると中毒を起こす可能性があります。塗った後は別の部屋やサークルで過ごさせ、同じ部屋にいるときは、塗った部位に顔を近づけたらそっと呼び寄せて離しましょう。どのくらいの時間離しておくかは、処方した動物病院や薬の説明で確認してください。薬を舐めたがる癖のある子がいる家庭では、投薬のたびに分けて過ごす習慣をつけると安心です。
6舐めが止まらない場合は、体と行動の両面から相談する
呼んでも反応しないほど没頭して何時間も舐め続ける場合は、常同行動に近づいている可能性もあります。まず舐める側・舐められる側の皮膚や耳に原因がないかを獣医師に確認し、体の問題が見つからない場合はストレスや不安の面から、行動診療を行う動物病院に相談してください。
すぐ受診すべきサイン
次のような様子があるときは、様子見をせず動物病院に相談してください。とくに塗り薬やノミダニ駆除剤をつけた部位を舐めてしまったときは、今すぐ連絡してください。ほかの項目も、電話で様子を伝えて受診の時期を確認しましょう。
🚨 手術後の縫合部を同居犬が舐め、傷が赤く腫れている・開いてきた
🚨 塗り薬やノミダニ駆除剤をつけた部位を舐めてしまった
🚨 舐められている場所の毛が抜け、皮膚がじくじくしている
🚨 舐められている側の耳から強い匂いや黒い耳垢が出ている
🚨 舐められる側が逃げ場を失い、隠れる・食欲が落ちている
🚨 呼んでも反応しないほど没頭して舐め続ける
他の犬の口元を舐めるとき
口元を舐める行動は犬同士のやり取りで見られますが、舐められた側が歓迎しているかどうかは、相手の様子を見て別に確かめる必要があります。
「相手の犬の口元をペロペロ舐める」が見られる場面
相手の犬の口元を、体を低くして下から舐め上げる様子は、犬同士の挨拶ややり取りの場面で見られることがあります。子犬が母犬の口元を舐めて食べ物をねだる行動と結びつけて説明されることもあり、若い犬が成犬に、控えめな犬が落ち着いた犬に向けてする光景も見られます。ただし、舐めている側の気持ちや、舐められた側が受け入れているかどうかは、このしぐさだけでは分かりません。舐められた側が顔をそらす、離れる、固まるといった様子を見せたら、舐め続けさせず距離を取りましょう。受け手がじっと動かないことも、続けてよいという合図とは限りません。相手が歯を見せる・唸るのに舐め続ける場合は、緊張が高まっていることもあるので、早めに間に入ってあげてください。また、同じ相手の口元ばかりを執拗に舐めるようになった、舐める様子が急に増えたという場合は、舐められている側の口の中の異常(口内炎・歯周病・腫瘍など)が関わっている可能性もあります。双方の体調や、最近の生活の変化もあわせて確認しましょう。
注意したいケース
⚠️ 舐められた側が歯を見せる・唸る・逃げる様子を見せたら、挨拶だからと続けさせず、すぐに距離を作ってください。じっと動かずに耐えているように見えるときも、無理に一緒にいさせないようにしましょう。
まとめ
🐶 犬同士の舐め合いは接触の一つで、相手の体を治しているわけではないので、嫌がる様子や長い舐め続けがあれば距離を取ってあげましょう。
🐶 子犬が先住犬の耳や口を舐めるのは挨拶や遊びのことが多いですが、先住犬が嫌がるなら人が子犬を呼んで区切り、先住犬の逃げ場を用意しましょう。
🐶 止めるときは叱らず、名前を呼んで別の遊びに誘い、舐められている部位に赤みや耳の異常、塗り薬がないかも確かめてみてください。
よくある質問
Q. 犬同士が顔や耳を舐め合うのはなぜですか?
A. アログルーミングと呼ばれ、犬同士の接触の一つとして見られる行動です。耳を舐めて清潔にしたり、相手の体を治療したりしているわけではありません。新入りが先住犬の口元を舐めるのは子犬が母犬に行う挨拶に由来するとされますが、舐められる側が避けるなら距離を取ってあげてください。
Q. 犬が同居犬の耳ばかり舐めるのは病気のサインですか?
A. 可能性はありますが、舐める様子だけでは判断できません。炎症や分泌物の匂いに反応していることもあり、舐められている側に外耳炎などの異常が隠れていることもあります。耳の内側の赤み、黒や黄色の耳垢、匂い、頭をよく振っていないかを確認し、当てはまれば受診してください。
Q. 手術後、同居犬が傷を舐めてしまいます。どうすればいいですか?
A. エリザベスカラーは自分で舐めるのを防ぐためのものなので、同居犬からは部屋やサークルで分けて守ってあげてください。縫合部を舐められると感染や傷口が開くことにつながり、治療が長引くことがあります。傷が治るまでは別々に過ごし、赤く腫れてきた場合はその日のうちに受診してください。
Q. 子犬が先住犬の耳を舐めるのはやめさせた方がいいですか?
A. 先住犬が落ち着いて受け入れ、しばらくするとやめるなら、無理にやめさせる必要はありません。先住犬が顔をそむける、立ち去る、唸るといった様子を見せたら、人が子犬を呼んで別の遊びに誘ってください。先住犬を叱るのは避け、子犬から離れて休める場所を用意しましょう。耳が湿ったまま赤い、匂うといった変化があれば、動物病院で相談してください。
関連する行動もチェック
この行動とあわせて見られることが多い行動です。あわせて読むと、体のサインと犬同士の関わり方を比べやすくなります。
📚 参考:日本獣医動物行動学会(行動診療を行う動物病院の地域別一覧あり)/AVSAB(米国獣医動物行動学会)Position Statements
※本記事は一般的な動物行動学の知見に基づく参考情報であり、獣医学的な診断に代わるものではありません。愛犬の体調や行動に不安がある場合は、必ず獣医師にご相談ください。



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